特定技能「自動車運送業」の運用要領が改訂!トラック事業者が押さえるべき変更点とは
2026.10.16
近年、深刻なドライバー不足に悩むトラック運送業界において、外国人材を即戦力として受け入れられる在留資格「特定技能」への注目が急速に高まっています。
そうした中、令和8年10月9日、自動車運送業分野における特定技能外国人の運用要領が一部改正されました。
今回の改訂では、不適切な労働を防ぐための業務範囲の明確化や、手続きの緩和など、実務に直結する重要な変更が行われています。本記事では、トラック運送事業者が絶対に押さえるべき改訂のポイントと、今後の受け入れにおける実務上の留意点を分かりやすく解説します。
1. 従事できる業務内容の明確化と「付随的業務」の厳格化
今回の改訂における最重要ポイントの一つが、外国人が従事する「業務内容」の記述の再編と明確化です。
トラック運転者の業務区分として、主に従事しなければならない「主たる業務」は以下の通り再定義されました。
• 運行業務(安全な貨物の輸送等)
• 荷役業務(荷崩れを起こさない貨物の積付け等)
「専ら関連業務」は明確にルール違反へ
特に注意すべきは、日本のドライバーが通常行う「関連業務(付随的業務)」に関する規定の強化です。
「車両の清掃」「運行前後の準備」「片付け」といった、試験等で専門性を確認されない業務に付随的に従事することは差し支えないとされていますが、今回の改訂で以下の文言が明記されました。
「専ら関連業務に従事することは認められません」
つまり、「ドライバーとして採用したのに、実際には洗車や倉庫内の片付けばかりをさせている」という状態は明確なルール違反(不適正運用)となります。事業者は、主たる運行・荷役業務を確実に割り当てるシフトや体制を整える必要があります。
2. 技能実習2号修了者は「日本語能力の証明」が免除に
トラック運送業で特定技能1号の在留資格を得るには、原則として「トラック分野の特定技能1号評価試験」と「第一種運転免許」の取得に加え、一定の日本語能力(JFT-Basic A2.2相当以上、または日本語能力試験N4以上)の証明が必要です。
しかし、今回の改訂により、他職種などから移行する「技能実習2号を良好に修了した者」への扱いが緩和されました。
• 修了した技能実習の職種や作業の種類は問わない
• 技能実習2号を良好に修了していれば、当面の間、その事実をもって必要な日本語能力を有しているとみなされる
• そのため、在留資格の申請時に日本語試験の合格証明書の提出が不要になる
この緩和により、実習生からのスムーズな特定技能への移行や、採用手続きの迅速化・コスト削減が期待できます。
3. 国交省の「キャリア形成プログラム」の新設と活用
改訂運用要領では、新たに「第6 キャリア形成プログラム」の項目が新設されました。
これは、特定技能外国人が自身の将来ステップを予測し、モチベーションを保ちながら技能向上を目指せるよう、国土交通省が関係業界と協働して策定した指針です。具体的には以下の4項目を基本としています。
1. 講習受講・資格取得
2. 日本語能力のステップアップ
3. マネジメント経験の蓄積
4. その他(フォローアップや意欲向上策等)
このプログラムは国土交通省のホームページに掲載されています。受け入れ企業は、外国人ドライバーを単なる労働力として扱うのではなく、計画的な育成・評価を行うための指針として適切に参照・活用することが求められます。
4. 事業者が満たすべき「受入れクオリティ」の基準
外国人ドライバーの過重労働を防ぎ、安全な稼働を維持するため、特定技能所属機関(事業者)に課される以下の「厳しい基準」は引き続き維持されています。
• 自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を営む者であること
• 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けていること。または、「貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク)」の認定事業所を有していること
• 国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になること
これらの認証や協議会への入会は、特定技能外国人に係る在留諸申請を行う前に完了している必要があります。まだ認証等を取得していない事業者は、事前の計画的な準備が不可欠です。
まとめ:最新の運用ルールを遵守し、適正な人材確保へ
令和8年10月の運用要領改訂は、トラック運送業界における特定技能制度が、より「即戦力ドライバーの適正な確保と育成」に向けて本格化していることを示しています。
技能実習修了者の日本語証明免除といった事業者への追い風がある一方で、関連業務への専従禁止など、コンプライアンス遵守の目はこれまで以上に厳しくなっています。
最新のルールを正しく理解し、外国人ドライバーが安全に、そして安心してキャリアを築ける職場環境を整えることこそが、これからの物流大競争時代を生き抜く人材獲得の成功の鍵となるでしょう。